ザスカーのサイズが 20インチだった事に感謝した瞬間である。
その後 階段にも手こずりながら 山小屋まで降りてきた。
一息入れて 後半8kmの山道下りをスタートする。
山小屋前にはギャラリーが集まった。
走り始めて数秒後 前転
この日 最も大きい歓声が上がった。
「お約束」
とギャラリーにVサインを出してはみるが・・・
登山道では階段 石段 登山者のやり過ごしに手こずり
歩いて降りる友達やマイクルを 長く待つ様なことが あまり無かったように記憶している。
さて このダウンヒルが世界初だったのか?
マイクルは 自転車で降りたのは初めてだと言ってくれた。
その後 登山ガイドとして 2度キナバル山に登り マイクルとも再会をした。
彼が 僕の雇っている現地ガイドやポーターに
「バイシコ・・◎×△□」
と話をすると 僕は握手を求められたり サインを頼まれたりした。
それを見た僕のお客さんが 意味もわからず驚いている。
凡人の僕は こんな経験は生まれて初めてのことだった。
当時 自転車雑誌や山岳雑誌への発表はしていない。
毎週出演中だった地元ローカルラジオ番組のネタでしゃべり
地元のテレビの取材(地元の変な人を紹介するコーナー)
に応じたが さすがに世界初などとは口にしなかった。
登山家とかクライマーは 初登・初登攀などと言うのが大好きな人種だ。
昔 山岳会で「狙え初登攀的教育」を受けた僕も 正直意識している。
過去において 僕自身が初登した岩が 後に他の誰かによって
初登攀として 山岳雑誌に発表された経験もあり
はっきりしないことを 公にするのは気が引けた。
しかし時間が経って ダウンヒルの内容を考えると
そんな大した話でも 凄い話でもなく
「小さな世界初」
としてMTB好きの皆さんに 聞いてもらいたいと思うようになった。
同時に 実際にそれ以前にMTBでダウンヒルした人が居なかったのか
そんな情報も得たいと思った。
もし 情報があれば ご一報いただきたいと思う。
現在 地球上に残されている「世界初の冒険」は
本当に命がけで 誰も手を出さない冒険か
エキスパートが目もくれない ささやかな世界初の冒険の二通りだ。
ふと考える。
この山道をMTBで下ったのは 俺が初めて かも・・・
この坂を 足を突かずに漕ぎ上がったのは 僕が初めて かも・・・
こんな 岩山にMTB担ぎ上げたのは 自分が初めて かも・・・
こんな長い縦走路をMTBで走破したのは 私が初めて かも・・・
きっと小さな世界初を多くの皆さんが 達成していると思う。
小さくても 世界初は世界初!
山岳サイクリングには 小さな世界初を狙うチャンスが沢山あると思う。
こんな 楽しみ方は MTBライダーに受け入れられるのだろうか?
終わり
