古い山日記を読み返しながら テレビを見ると
少しだけ記憶が 蘇ってきました。
それにしても 傍から見ると 高度感満点の恐ろしいコースです。
昔話です!
当時 シャモニモンブラン周辺の山々を登攀しながら
マッターホルンのコンディションの回復を待っていました。
シャモニの登山ガイドが知り合いだったので
彼らの ガイド登山に日程を合わせ マッターホルンへ向かいました。
装備は ヘルメット アイスバイル アイゼン ロープ1本 テープ3本
カラビナ4枚 エイトカン ヘッドランプ シュラフカバー 水筒
服装は着の身着のまま&手袋
食料は ソーセージ5本 チョコレート1枚 チーズ1切
今から思えば 随分軽装ですが テレビでもありましたよね
事故を防ぐ最大の防御 スピード=安全
という訳で アルプスでは 身軽=安全なのです。
マッターホルンの下部は 最短ルートを外すと時間が掛かるので
途中まで ガイド一行と同行させてもらいました。
もっとも僕は単独登山なので ザイル確保はありません。
ソルベイの小屋からは ガイド一行と別れ 一人で登りました。
身軽な単独。他のパーティーのロープを潜りながら 追い越して行きます。
フィックスロープ帯は 雪を払いながら登るので
ウールの手袋に雪が詰まり ロープが滑るため 握力が失われて困りました。
緩やかな上部雪田を越え ビクトリーロードを渡りスイス側山頂に到達。
11時05分山頂。(4時45分出発)
日記のコメント
「ピークハントに意義を感じるのは何年ぶりだろう。」
当時の僕は なかなかのビッグマウスだったようです。(笑)
普通 急いで下山をする時間ですが 僕にとっての山頂はもう一つ先。
憧れの登山家 ボナッティが 最後の先鋭的登攀に選んだ
冬季単独マッターホルン北壁新ルート。
彼がイタリア側山頂で 抱きついて涙した 黒い十字架を触る事でした。
北壁上部を 慎重にラッセルして イタリア側山頂を目指しました。
40分くらい掛け ようやく黒い十字架へ。
振り返ると スイス側山頂が霞んでる。
頂上には登山者が見えます。
スイス側頂上から下山開始したのが12時05分
この時間ロスが 下山を困難なものにしてしまいました。
下山はロープを使って 懸垂下降を繰り返します。
半分以上 下山した頃 吹雪と雷が襲来。
仕方なく 登り返して ソルベイ小屋に避難する事に。
このルートで唯一のⅢ級のロッククライミングのピッチ
モズレイスラブを2度もノーザイルで登る羽目になりました。(笑)
今の僕は あの頂上に立つよりも 山麓をMTBで走る方が幸せです。
それに 登るのは命懸けで 相当怖そうです。
予想通り イモトは楽勝で登ってしまいましたね。
そして速い!
アイゼンで岩を登るのって 結構難しいものですよ。
パートタイム・アルピニストで あれだけ登れれば立派
次はヒマラヤ8000m級!
アンナプルナあたりでしょうか?
でも心配。
いくら名ガイドが付こうとも 自然は甘くありませんから
イモトのために これ以上の悪ノリは止めて欲しい気がします。
登山家や冒険家は 有名になりスポンサーが付き始めると
その圧力から 自分の意図しない行動をとってしまう場合もあるようで
危険な領域に足を踏み入れてしまうのです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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